お墓まで持っていかないで!「売る為でない本」を遺す意味 ~ HNK「ファミリーヒストリー」武井壮さんの回を観て
更新日:10月2日
2026年8月22日NHKで放送されたNHK『ファミリーヒストリー 武井壮 ~生き別れた母の行方~』を観ました。
妻とNHK ONEで、だったのですが、文字通り絶句しました。
内容についてはぜひ同局のNHK ONEかオンデマンドで観て欲しいので詳細は避けますが、タイトルの通り武井氏が9歳の時に生き別れた母の消息を、同番組で初めて知ることとなります。
見終わった私が洩らした第一声は、「墓場まで持っていかないでよ!」でした。
言ってしまいますが、これは昨年2025年の12月に病死されたお母さんに対しての言葉です。そう言わずにおれない事情は、番組を見て貰えればわかると思います。
社会では、よく「墓場まで持って行く」という言葉を使います。
私にだって、この歳になれば「墓場まで持って行く」ことの1つや2つはあります。
しかし、やっぱり「遺された人の為に、墓場まで持って行ってはいけないこともあるのだ!」と叫ばずにはいられません。
武井さんのお母さんの場合がまさにそれで、9歳の時「実家の和歌山に一週間帰る」と嘘をついて東京駅の新幹線ホームで別れて以来、76歳で亡くなるまでの44年間、武井さんには存在の痕跡を何ひとつ残しませんでした。
亡くなった後、私物の中から武井さんの顔写真の切り抜き2枚が見つかっただけでした。
実際は、実家には一週間程度滞在した後、また東京に戻り独り暮らしをした後、別れてから11年後に他の男性と再婚されている。
何度か二人を物陰からそっと見に行ったこともあるそうです。その気持ちはよくわかります。
しかし、姿も見せず何の言葉もかけずに二人への想いを「墓場まで持っていく」のならば、せめて一冊のノートぐらいは遺していって欲しかったと思うのです。
2人を身籠った頃の事、生まれた前後の事、幼くて記憶が無い頃の日記、そして何より別れることになったいきさつや別れてからの日々の事など。
父、母、兄の三人をなくしてしまった武井氏に、せめてそれぐらいの「遺産」が遺されていて欲しかったです。
番組の最後、すべての結末を知った後でも、武井氏は母に対して「本当に可愛がってくれた」「母の優しい笑顔しか覚えていない」というような感謝の言葉を述べられていただけに、その事が余計辛く感じました。
私はまさに、そういう「心の遺産を遺す」という志を持って出版の仕事をしているのですが、今回の放送を観て、本腰を入れて自分の子どもの為に遺す本づくりに取り掛かろうと決心しました。
「売る為でない本」を遺す意味が必ずそこにあるからです。
思えば今年の春ごろ作成させて頂いた「伊王島の潮風に吹かれて」という本もそういう本でした。
今はひとり暮らしをされているのだけど、自分の人生を振り返られて、どうしてもあの時子ども達を置いて家を出なければならなかった事情をいつかどこかで子ども達に伝えたいという想いがあったからでした。
でも、それを広く世に出してしまえば快く思わない人を傷つけるかもしれない。でも、自分の生い立ちや仕事で苦労した日々などを含めて「自分の歩んだ人生の軌跡」を遺しておきたい、そういう強く深い想いが伝わってきました。
私も「きっと、いつかこの本が子ども達や知人の方々の心の遺産になることを確信し、編集作業を続けました。
完成、出版後、ご自身と子どもさんの分、そして「読みたい」と言ってくださった数人のご友人の方の分をAmazon KDPから印刷後、現在は発売を休止しています。
そういった形の出版はAmazon KDPならではの強みであり、またこの出版形態の存在する重要な意味だろうと改めて感じました。




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